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地域で誰も独りにしない。食と会話でつながる『誰でもカフェ』レポート

誰でもカフェ

東京都豊島区上池袋にあるSDL(Social Design Library:HIRAKU IKEBUKURO 01)にて、「誰でもカフェ」イベントが開催されました。このイベントは、地域の高齢者から若者まで、幅広い世代が自由に参加できるオープンなサードプレイスとして企画されました。参加費は無料で、食事や音楽、そして温かい会話を通じて、地域の人々が互いに支え合い、孤立を防ぐための居場所づくりを目指しています。

イベントの模様

会場は、開始30分前からすでに参加者で賑わい、定刻には30名以上が集結していました。SDLの明るい自然光が差し込む広々とした空間は、温かみのあるインテリアと手作り感あふれる装飾で彩られ、訪れる誰もがリラックスできる雰囲気に包まれていました。各テーブルには、主催者が用意したお菓子やパン、ドリンクが配られ、参加者はセルフサービス形式で自由に取り分けながら、自然と会話が始まりました。

主催者の田鍋美恵さんは、開会の挨拶で「この地域で生きる皆さんが、ひとりで抱え込まず、共に語り合い、支え合える場所が必要だ」と熱く語りました。その後、ゲストとして招かれた「はぶちゃん&ゆうとさん」がアコースティックギターとハーモニカを使い、懐かしさと新鮮さが感じられる生演奏を披露。『さくら』や『ルージュの伝言』など、世代を超えて愛される曲が次々に演奏され、会場は自然な笑い声と歌声で満たされました。アンコールで披露された『川の流れのように』では、参加者全員が一緒に口ずさみ、温かな一体感が生まれました。

交流の深まりと多様な取り組み

イベント中は、参加者同士が積極的に交流する様子が印象的でした。自由に移動できる会場内では、初対面の人同士でも気軽に話しかけ合い、地元の課題やアイディア、日々の小さな喜びについて語り合う姿が見られました。さらに、テーブルごとに設置されたシェイカーや手拍子グッズを使ってリズムをとりながら、自然発生的なコミュニケーションが促進され、会話の輪が広がりました。

また、SDL内では、過去に開催された「高齢者の誰でも食堂」や、定期的なワークショップ、読書会なども紹介され、今回の「誰でもカフェ」イベントは、これら先行イベントの成功を受けた進化形として位置づけられています。参加者の中には、以前の「誰でも食堂」での体験からこのイベントにも足を運んだ方や、地域コミュニティに新たな繋がりを求めて参加した方も多く、イベント終了後も和やかな余韻が会場内に漂っていました。

参加者の声と体験談

参加者の声は、今回のイベントの成功を物語っています。20代の若者は「普段は異なる世代と接する機会が少なく、ここでの交流で新しい価値観や視点を得られた」と話し、70代の参加者は「このようなオープンな居場所があることで、孤独を感じることなく生き生きと過ごせる」と満足感を語りました。また、運営スタッフの一人である豊島区の生活支援コーディネーター・山崎みち代さんは、「このイベントは、地域の人々が自分たちの居場所として心から受け入れ、次世代へ繋がる大切なコミュニティの礎になっている」とその意義を強調しました。

地域との連携と今後の展望

今回の「誰でもカフェ」イベントは、SDLや主催企業、地域企業との連携によって実現しました。たとえば、上池袋2丁目にある歴史ある企業マテックスの協力を得るなど、地域の企業と行政、住民が一体となった取り組みが背景にあります。こうした連携は、地域全体のサステナブルなコミュニティづくりの一環としても評価され、今後も定期的なイベント開催が予定されています。

主催者の田鍋さんは、「これからも地域の新旧の住民が互いに知り合い、支え合う場を提供し、持続可能な地域社会のモデルとなるようなイベントを続けていきたい」と語っており、今回のイベントがその第一歩となったことは間違いありません。

次なる一歩へ

今回の「誰でもカフェ」イベントは、食と音楽、そして会話を通じて地域の多世代が自然に交流できる貴重な体験となりました。イベント終了後も、参加者同士で名刺交換やSNSを通じた連絡先の交換が行われ、次回開催への期待感が高まっていました。田鍋さんや山崎さん、そして協力企業の支援のもと、今後はさらに多彩なプログラムが企画され、地域のサードプレイスとして「誰でもカフェ」がより一層充実した交流の場となることが期待されます。

地域で誰もが孤立せず、互いに支え合う温かなコミュニティが築かれる未来を、この「誰でもカフェ」イベントは示してくれました。次回の開催にも、ぜひ多くの方が参加し、さらなる交流の輪が広がることを心から願っています。

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